尺野将太氏 ヘッドコーチ就任記者会見
【浦伸嘉(株式会社広島ドラゴンフライズ代表取締役社長兼GM)から経緯説明】
ご存知の方も多いと思いますが、一昨年のプレーオフB1・B2入替戦の広島対横浜のゲームで横浜の指揮を執っていたのが、尺野さんでした。我々は昇格できず、横浜さんがB1残留を決めたゲーム。この試合の際に初めて話をさせてもらい、『広島出身なんです』と教えてもらいました。今思えば、このゲームからのご縁だった。時を経て、我々が色々と考える中で、今季も横浜を1部残留に導いたギリギリの勝負どころの強さと、若いエネルギーを持つ尺野さんに声をかけさせてもらった。本人も地元でヘッドコーチをやることにやりがいを感じていただいて、ぜひ一緒にやりましょうと快諾していただきました。
【尺野将太ヘッドコーチご挨拶】
このたび2018-19シーズンのヘッドコーチに就任しました尺野将太と申します。私の地元は広島で、今季これから活動が始まって、広島のファンの前で試合をすることを今から心待ちにしてワクワクしています。広島ドラゴンフライズは今年が5年目の若いチーム。私も今年35歳なので若い年代になると思います。しかしこれまでの4年間で築いてきた4年分の力、歴史をしっかり土台にしながら、新しい風を吹き込ませたい。選手も今季大きく入れ替わりますので、新しいメンバーと一緒にまずはチームを戦える集団にして、B2優勝を目指してしっかり戦っていきたいと思います。よろしくお願いします。
【質疑応答】
ー改めて、広島でヘッドコーチをするという気持ちをもう少し詳しく教えてください。
尺野ヘッドコーチ
「今は楽しみでワクワクしているところです。昨日も寝れなくて睡眠不足、今季始まるのが待ち遠しい。バスケットボールの部分は新しいメンバーも多いので、これから一から作っていかなければいけないが、5年目という若いチームながらも初年度からいる田中成也選手であったり、朝山正悟選手からこれまでやってきたこともしっかり伝え聞きながら、新しい風を吹かせていきたいと思っています。広島という土地はスポーツが盛んで、野球、サッカー、バレー、ハンドボールなどあるので、ファンの応援も熱いと思いますし、2年前に代々木で対戦したときも多くのファンが駆けつけて応援している姿は対戦相手だった私も覚えている。ファンの皆様、スポンサー様、後援会の皆様の前で一日も早く試合をしたいという気持ちでいっぱいです。」
ー地元の広島で指揮を執るということは特別なことですか。
尺野ヘッドコーチ
「もちろんプレッシャーも多いと思いますが、自分の生まれ故郷で指揮が執れる機会はそう多くあるものではないと思うので、せっかくの機会、頂いたオファーに、他の選択肢もありましたが、すぐ返事しました。ぜひ地元でという思いはありました。」
ークラブができたときから「いつか広島で指揮を執ってみたいな」という思いはありましたか。
尺野ヘッドコーチ
「(クラブが)できたときは、いちファンという感じで、佐古賢一さんがヘッドコーチだった時代に、甥っ子を連れて応援に行ったりもしていました。その時はまだコーチという立場ではなかったので、将来的にという思いはなかった。ただ入替戦であたったり、コーチとしてキャリアを積んでいく中で『いつか広島で』という思いはずっと持っていたので今回実現して本当に嬉しく思います。」
ー広島でバスケットボールに携わるのは高校生以来でしょうか。
尺野ヘッドコーチ
「そうですね。広島弁でバスケットボールを教えたことはないです。」
ーこれまで全日本女子の分析スタッフをされたり、他クラブのコーチをされたり、いろんな経験を積まれたと思いますが、この経験を特に活かしたい部分はありますか。
尺野ヘッドコーチ
「私自身がB2のバスケットボールをほとんど見ていないので、まずB2のバスケをしっかり知ること、それから今季は新しく来る選手が多いので、新しく来る選手の特徴をしっかり捉えて、選手の個性に合ったチームを作りたいと思っています。選手がまだ全員決まっていないので、決まってからしっかり考えたいと思っています。分析をしていた経験から、バスケを見る目は他の人よりも付いている自信があります。そこを武器に、選手の個性も生かして、B2のバスケに対応することで優勝できるチームを作りたいですね」
ー具体的にヘッドコーチが目指すバスケットボール、戦い方を教えてください。
尺野ヘッドコーチ
「バスケットボールの特徴は展開の速さだと思います。サッカーは1,2点の勝負で90分間やる中で1回、2回の興奮を味わうスポーツ。野球もそれに近いと思いますが、これに対してバスケは80回、90回とコートを往復する中で、毎回シュートが入ったり、良いディフェンスをするところで一瞬一瞬を楽しめるスポーツだと思っている。なので、切り替えをとにかく速くして、80回、90回ある攻防の一回一回がしっかり見応えのあるバスケにしていきたい。スピード感あふれるチームにしたいし、勝つためには必要なことだと感じている。ハーフコートをするチームが多い印象なので、切り替えの速さをとにかく追求して、オフェンスでは攻めれるときはどんどん速攻を出して、ディフェンスも重視したいので、前からしっかりプレッシャーをかけて24秒ルールの前の30秒間ディフェンスして、相手にプレッシャーをかけるディフェンスをしたい。」
ーモットーはありますか。
尺野ヘッドコーチ
「一日一日の練習にすべてを出し尽くして、やり残しがない一日、一週間をしっかり過ごしたい。一回の練習、試合に全力を傾けられるチームにしていきたい。」
ー現状で特に期待する選手はいますか。
尺野ヘッドコーチ
「今決まっている選手の中では、坂本ジェイ選手はB2の中ではかなりアドバンテージが取れる選手だと思う。インサイドのアドバンテージをしっかり活かして、田中成也選手のシュート力を引き出したい。」
ー山田選手にはどんなことを期待しますか。
尺野ヘッドコーチ
「彼は能代工業からのキャリアを持つ選手ですし、(旧)bjリーグで優勝も経験もしている。横浜で2年間一緒に戦って彼のプレーの特徴も良さもわかっています。速い展開にも対応できるし、コート以外の部分でもリーダーシップを発揮してくれる選手だと思っています」
ー今シーズンの意気込みを最後に教えてください。
尺野ヘッドコーチ
「B2優勝、B1昇格を目指してチーム一丸となって戦う姿勢は最後まで曲げずにいきたいし、チャンスのある選手が揃ってきていると感じている。さらに戦っている姿が見ている人に感動を与えられるようなチームを作れればいいかなと思っています。B1で戦っていた選手も多く来るので、B1で勝つという基準で練習をすればB2優勝は見えてくると考えている。その上で見ている人にも喜んで欲しいので、オフェンスとディフェンスの両方を高いレベルに持っていくためにいっぱい練習しようと思います。」
ー横浜時代は2季続けてシーズン途中からヘッドコーチに就任する形になり、今回はシーズン始まる前からヘッドコーチとなるが、心構え、準備の部分でどう考えているか。
尺野ヘッドコーチ
「シーズン途中からヘッドコーチになった経験から、開幕前の準備がいかに大事かということを痛感した。こうすれば勝てると思っても、練習でやっていないことは試合ではできないので、開幕前にどれだけ準備できるかが大事だと思っています。それを踏まえてB2のバスケットボールをもう少し見て、何が必要なのか、自分たちのチームの良さをしっかりと把握していかないといけない。間違った準備をしてもシーズン中に苦しむだけなので、横浜で学んだ教訓を生かして、求めるレベルに選手全員が届いて、考えるパフォーマンスを体で表現できるような状態になるまで準備をしっかりしたい。」
ー横浜で得た教訓の中で、早速取り組もうと思っていることはありますか。
尺野ヘッドコーチ
「いっぱい走ることですね。60試合は長いので、シーズン後半に失速するチームも多い、B1の下位のチームやB2のチームが初日に大勝したあとに、真逆のスコアで負けて一勝一敗ということがよくあった。それは2日間通じて戦うコンディションが整っていないことが原因の一つであると考えられます。ですので2日間を安定して戦えるコンディションと60試合を戦い抜けるコンディションを作ることに注力して、シーズン終盤の大事な時期にしっかり2連勝できるチームを作りたい。強いチームは自分たちが考えて戦えるので、シーズン前半にしっかり伝えるべきことを伝えて、シーズン後半に白星を積み上げられる実力をつけたい。12名の選手でしかできないバスケットをやりたい。」
ーこれまでのドラゴンフライズの戦いをどう見てきたか、これまで築いてきたものはどういうものだと考えていますか。
尺野ヘッドコーチ
「NBLの2年間は外からただ見ていただけなので、細かいところは分からない。入替戦ではしっかりスカウティングしたときには、あきらめないプレーが多くて、オフェンスでもディフェンスでもルーズボールもしっかり追いかけるプレーは厳しく指導されてるのかなという印象があった。粘り強く、泥臭くという部分は、佐古さんの時代から厳しくされていた部分だと思うので、勝負のかかった1点、2点で大事になってくるので、球際であったり、リバウンド、ルーズボールは何がなんでも自分のものにするというメンタルの部分は大事にしたい。僕も代表で分析もやらせてもらっていて、作戦を色々たてますが、最後は気合と根性だと思っているので、選手もヘッドコーチも変わったのでバスケットの色は変わりますが、佐古さんが鍛えてきたスタッツに表れない気持ちの部分を継承して戦いたい。」
ー佐古さんが築いてきたチームはチームの中、ファンとの関係において信頼関係の強さが印象として残っていて良いチームだなと感じてきたんですが、尺野ヘッドコーチがここは徹底したい、大事にしたいと思う部分はどのような部分でしょうか。
尺野ヘッドコーチ
「とにかくチームで戦うというところです。例えば、時にはパフォーマンスがよくなくて、ベンチに下げられる選手もいると思います。ですが、その時にふてくされるのか、コートにプラスのエネルギーを投げかけられるのかで、その選手の価値も、チームの価値も変わってくるので、選手にそういう部分は求めていきたい。(2年前の)入替戦のあと、横浜は勝ったので気分良く帰れたんですが、広島のチームもスーツに着替えて、広島から来ているファンの人達にしっかりファンサービスして帰っていく姿は横浜より上かなと思ったので、勝ったときでも負けたときでも応援してくれるファンやスポンサー、後援会の方への対応も当たり前にできるように全員でしていきたい。」
ー今年もB2西地区は激戦になりそうですが。
尺野ヘッドコーチ
「気の抜けるゲームは一つもない。西地区を勝ち上がることが切磋琢磨でチームとしても鍛えられていくと思うので、西地区の中でしっかり勝ち切ることが大事だと思っている。そうすれば東、中地区の上位とは戦える力がついてくると思う。チームはコートで戦っているメンバーだけがチームではありません。フロントもそうですし、応援してくれるファンやスポンサーや後援会、そしてここにいらっしゃるメディアの皆さんを含めてのチームだと思っている。2シーズン、横浜でB1でやった感覚として、広島は街も県もクラブもそうですけど、できればB1にいて欲しい地区だと感じました。パワーも魅力もある広島で、B1で戦える力をつけていって、選手もB1のレベルになっていけばおのずと優勝や、西地区の1番は見えてくる。広島はカープ、サンフレッチェというトップチームもあり、良いお手本がたくさんある街。他のクラブも参考にしながら切磋琢磨しながら、広島全体のスポーツが盛り上がればいいなと思いますし、特に冬はこのバスケットボールが広島の盛り上がる一因となればいいなと思っているので、広い意味の『広島』というチームで戦っていきたいと思っています。」
ー尺野ヘッドコーチは選手経験がない中で、拠り所、コーチとしての根幹となっている部分はどういう部分でしょうか。
尺野ヘッドコーチ
「バスケットボールを見る目だと思っています。プロ選手としてのキャリアはないので、やったことないだろうと言われればそれまでですが、そこを否定する気もないですし、事実なので、しっかり試合も練習も見て、選手を納得させるだけの材料を集めて、選手に提供してやっていくしかない。相手のビデオを見て研究したり、練習や試合をしっかり反省して、選手に納得してもらって、わかりやすく伝えたい。昨季も何回もあったんですが、選手がその時は納得しなくても『やったら何か良いことあるな』と思ってもらえれば、話は聞いてもらえる。それには選手との関係がしっかり作れていることが根幹になりますので、しっかり選手とコミュニケーションをとっていきたい。」