7/12佐古賢一ヘッドコーチ会見のご報告
7/12(火)に行いました佐古賢一ヘッドコーチ会見について、ご報告をいたします。
この日は今シーズンも指揮を執ることとなりました佐古賢一ヘッドコーチならびに、新任の西明生ゼネラルマネージャー、根間洋一アシスタントコーチからもご挨拶を行いました。
【西GMあいさつ】
GMを仰せつかりました西明生です。クラブ創設時にGMをやらせていただきまして、当時のことが思い出されます。2年半ほど本業のためクラブを離れていましたが、この度新リーグ、新体制が立ち上がるということで、クラブからご指名をいただきました。佐古HCをサポートし、さらに前進していただきたく、この職を受けた次第です。現在、ドラゴンフライズは大活躍してくれているのですが、もっともっと活躍してくれると思いますし、試合に勝つだけでなく地域に貢献できるいい選手が揃っていると思います。
早々と契約してくれた若い選手、朝山選手のようなベテランが支えてくれているチームに、昨日入団を発表した山田大治選手も十分に1部でプレーできる選手です。そしてなにより、佐古賢一ヘッドコーチという人材が2部にいるということは、バスケットボール界にとっても、私にとっても辛いことです。是非この1年で1部に昇格し、2年目は1部でトップを狙えるチームを作り、3年目は優勝できるよう、微力ながら頑張りたいと思います。
【佐古HCあいさつ】
皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。
B.LEAGUEが今季から発足するにあたり、先日就任した浦(伸嘉)社長をはじめクラブのメンバーも変わりました。そんな中、自分の要望で西GMを現場に戻してもらいました。昨季終了する頃、私が「広島から離れるのではないか」と憶測が飛び交っていましたが、自分の中では、広島以外でヘッドコーチを受ける気はありませんでした。
ただ、ここまでの流れを振り返って、そろそろ広島ドラゴンフライズとして独り立ちをしなくてはいけない時期ではないかと思いました。現場だけが頑張っても駄目だし、フロントだけが頑張っても駄目。この足並みをそろえるために、社長をはじめ新たに組織が一新されました。そうした状況の中、初年度から育ててきた若い選手がチームに残る意思を表明してくれました。これを受け、今季からどうするか、考え方をしっかりもって引き受けなくてはいけないと思いました。
私は、チームが勝った、負けただけでいいという気持ちでHCの仕事を受けてはいません。選手の期待、広島ドラゴンフライズを支えていただいている皆様のすべてを背負って、何としても1部に昇格するための権利を得なくてはいけない。その重い責任があるからこそ、中途半端な気持ちで受けたくなかった。クラブはそんな私を快く迎えてくれましたので、何の心配もなく、今季、精一杯結果を出すために頑張りたいと思います。
これまでは、常日頃から支えていただいている、メディアの方々に取り上げていただくにも、なかなか結果が出ず、そんな場面が少なかったと思います。今季はしっかり結果に対してフォーカスしなくてはならない年になりました。メディアの皆様には、益々の露出をお願いしたいと思います。
【根間ACあいさつ】
今季よりアシスタントコーチとして広島に入団することになりました根間洋一です。昨季まではbjリーグの群馬に所属していました。B.LEAGUE初年度となる今季、広島ドラゴンフライズはB2スタートではありますが、求めていく結果は1年でのB1昇格です。そこに向かって、できるだけの力をアシスタントコーチとして注いで行きます。よろしくお願いいたします。
【以下、質疑応答】
―佐古HCの続投はファンにとっても大きかったと思うが、ファンに向けて一言。
佐古HC 非常にありがたいと思います。ドラゴンフライズのファンの方々、私個人を支えていただいている皆様があっての決断でした。まず、自分を分析した中で、そういう思いを背負っていなければ、この職を受けなかったと思います。ファン、選手、いろんな人の思いを自分背負う覚悟ができたので、引き受けました。自分の評価を上げるためとか、自分がどうみられるかというのは度外視しています。現役の時もそうでしたが、私は誰か人のためにやるときに、100%以上の力を発揮できるのではないかと思います。それを踏まえて、みなさんの思いを形にできるように頑張りたいと思います。
2年間、広島で生活させていただきましたが、広島が大好きです。広島の人の温かさ、情というのは独特のものがあります。これまでいろいろな地で、バスケットボールに携わりながら人と接してきましたが、この広島の地の皆さんの燃え上がり方に、すごいパワーをもらっています。今後、もっともっとバスケットを認知していただくために尽力していきたいと思います。そのためにはもっともっと応援が必要になります。
2部スタートにはなりますが要は、広島が盛り上がればいいんです。そういう気持ちでがんばっていきたいと思います。
―竹内公輔選手が移籍し、大きな柱が抜けた。これによる影響は。
佐古HC 竹内公輔の移籍は本当に残念でした。ファンの皆さんが残念だと感じているのと同じ気持ちに加え、ヘッドコーチとして竹内がいなくなったことによる不安も当然あります。
ただ、日ごろから選手たちには「まずはプロとして自分がどうモチベーションを持てるかということですべてを判断しなさい」と言っています。シーズンが終わってからは若手と一度も接触しませんし、(去就に関して)アドバイスもしません。すべて自分で決めるようにと言ってきました。
ただ、竹内に関しては、一度会いました。ヘッドコーチとして、竹内選手が必要だという思いは伝えました。ただ一方で「あなたの選手生命は限られている。私がいるかどうかではなく、プロとして、人のために戦うのか、自分のモチベーションのために戦うのか、日本のために戦うのか、すべてを判断して決めなさい」とも話しました。竹内は日本の宝ですから。そこをしっかり話した上での彼の決断なので、今回の移籍に関しては一切後を引きずることなく送り出しました。
―今シーズン、どんなバスケットを見せていきたいですか。
佐古HC この2シーズンやってきたバスケットを振り返りますと、1年目はプロとしての戦う姿勢を教え、2年目は自分たちの持ち味をコートで表現することを教えました。3年目となる今季はこの2つに加え、勝つために何をするのかを選手たちに伝えなくてはいけない。ドラゴンフライズの歴史の上で、この3年目が、ある意味バスケットの集大成になると思います。ここからは選手個々のスキルなどを肉付けていくことでチームとしての総合力が上がっていくと思います。もちろん、竹内がいた2年間と、代わりに山田大治が入る今季では、作り直さなくてはいけない点はあります。
過去2シーズンは、比較的見ている方にもわかりやすいバスケットを心掛けてきました。これからはバスケットの駆け引きの部分、走るだけでなくテンポの取り方、間の取り方をスキルとして目を向けないといけないと思います。これから2年間を見ないでいきなり今季から足を運んだ人には、少し難しいバスケットに見えるかもしれませんね。
選手は自信をつけています。いい練習もできている。9月の開幕戦までにどの程度間に合うのかわかりませんが、2カ月でいろいろ教えていかないといけない。
今季は、挑戦するバスケットではなく、勝つバスケットをやらなくてはいけません。横綱相撲をしなければならない時間もあります。それをチーム作りの目標に掲げて挑みたいと思います。成功したら、みなさんに大いに喜んでもらえるのではないかと思います。1年1年が挑戦ですが、(1部昇格を賭ける)今季は最大の挑戦になると思います。外国人選手も2年間とはタイプの違う選手を選ぶつもりでいます。そのあたりも楽しみにしていただければと思います。
―広島だけでなく、日本のバスケットボール界から大きく注目されるシーズンになると思います。こういう試合をしたいという佐古HCの思いを聞かせてください。
佐古HC 先ほど申し上げたように、私は人の思いに対してそれなりのモチベーションを持てる「人種」なので、自分のためにどうのこうの、というものはありません。昨季終了後、横浜の自宅に戻った時に、いろんな方から連絡をいただき、また会って話をしたりもしました。そのほとんどの方が、私が広島に残らない前提で話をされていました。
それを経て、感じるものはありますし、私が日本バスケットボール界の中で求められている役割がなんなのかも、重々承知しています。しかし、今の最大のモチベーションは何かと考えた時、それは、広島でバスケットに携わることでした。だからこそ広島に残る決断をしました。
たくさんのクラブからのオファーもいただきました。口々に「あなたは1部にいなくてはいけない」と言われました。私がそういう立場であることも重々分かっています。
だからこそ、今季はどうしても結果を出さなきゃいけない。
「あなたは失敗をしてはいけない」とも言われました。しかし、広島ドラゴンフライズのヘッドコーチに就任した当初に私はこう言いました。「失敗は自分が失敗だと認めなければ失敗ではない」と。失敗も成功も、他人が評価するものであって、自分が失敗したと感じて、広島を去る、とならない限り失敗ではないと思っています。それは、自分に言い聞かせる意味もあります。
他人の言葉に耳を傾けることはもちろん大事です。しかし、最後は必ず自分で決断しなければならない。これまで私は、選手としても、個人としても、いろんな決断をしてきました。自分のモチベーションはどこかということが決断の理由でしたが、それは、この広島で2年間携わる中、お世話になり、支えていただいた人の気持ちを裏切れなかった、ということです。そこが自分のモチベーションでした。誰が見ても「成功だね」、「広島に来てよかったね」と言ってもらえるまでは中央へ帰れません。その思いはここに持ってきていますので、最大のプレッシャーを自分にかけて、今季に臨む。その思いを、メディアのみなさんに、より多くの方々に伝えていただければと思っております。そこは、私の力の及ばない部分ですから、何卒お手伝いいただきたい部分です。
―西GMを迎えたこの体制になることによって、どう変わりますか。
佐古HC そもそも広島に入団を決意した95%は、西GMの存在がその理由でした。当時、他の方には面識もなかったですから。今季は勝負の年ですが、そのタイミングで戻ってもらった最大の理由は、私の安心感のためです。西さん自身には本業もあるので、100%尽力していただける状況だとは思っていません。
しかし、この2年間で経験したのですが、精神的に悩み、迷う時期がどうしてもあります。本来、そうした時に支えてもらう家族もいませんので、孤独な中で自分を奮い立たせるという意味で、西さんにそばにいてもらいたいなと思いました。クラブにも、私のわがままとして受け入れてもらいました。
―過去2年、特に昨季は外国人の連携に時間がかかり、スロースタートとなった感があります。そこを今季はどう改善していきますか。
佐古HC ここは、たしかに私もそう感じています。昨季は開幕から1カ月半苦しんで、結果としてプレーオフに出られなかった。ただ、天皇杯少し前からの結果を見ると「広島がプレーオフに出ることができないと盛り上がらない」と言えるくらいのチームを作れたとは思っています。
この2年、いろいろ経験をしてきました。従来よりさらに複雑な戦術を注入していく今季もスロースタートになる可能性もあるとは思いますが、これまでの反省も踏まえて外国人選手の力量や適性を見極めて獲得し、急ピッチでチームを作りあげていきたい。けが人は出さないことや、昨季ケガでシーズンを棒に振った朝山正悟の復帰も大事です。朝山に関しては、本人曰く「開幕には間に合わせたい」と取り組んでいますが、我々は「とにかく、シーズンの最後にコートに立っていないといけない」と伝えて、ブレーキをかけている状況です。それくらい朝山のモチベーションは高い。今季チームを作るうえで、ベテラン選手がかなり大きな役割を果たしてくれると思います。
開幕戦、そしてホーム開幕戦を迎えるのが楽しみです。
―Bリーグになるにあたり、これまで対戦経験のないbjリーグにいたチームと戦うという状況だが、戦い方が変わるのか。
佐古HC bjリーグに関する情報はゼロです。選手についても、スタイルについても正直言って把握はできていない。アシスタントコーチ(AC)の大野(篤史前HC)が千葉へ移籍した後、bjリーグの在籍が長い根間(洋一AC)を招聘したのはそういう理由が大きかったです。
根間との関係を少しお話しましょう。いすゞ自動車に所属していたころ、キャプテンをしていた最後のシーズンにルーキーで入ってくるはずだったのが根間でした。その後、チームがなくなり、根間はbjリーグでプレーをすることが多くなりました。年に1度くらい連絡はとる関係だったのですが、大野が抜けた後のACの後任を誰にするか悩んでいた時に、根間から連絡をもらい「彼しかいない」と思いました。彼が培ったbjリーグでの情報をチームのために使ってもらおうと思いました。
ルーキー時代にかわいがっていた後輩というのは、使いやすいものですよね(笑)少々無理も効く人材ですし、ACのオファーをさせていただきました。
―今季は昇格をかけての戦いです。HCの抱く期待と不安については。
佐古HC もちろん、不安も期待もあります。これだけの選手が他クラブから引き合いがあるなかで残ってくれた。ここは私にとっての財産であり、期待しかありません。彼らがさらに成長し、バスケットに貪欲に向き合ってくれるだろうと、練習を見ていて感じます。今季の私のモチベーションのうちのひとつですね。
挑戦する、ということは、自信だけでは乗り越えられなくて、自分の今までの挑戦を考えると、不安が少し大きい方が頑張れる。その意味では、今は自信が4、不安が6ありますね。まず、プレーオフに出ることを大前提で考える。そして、プレーオフでは戦い方が変わるのでそれに対応しなくてはなりません。レギュラーシーズンが1位であっても、昇格できなければ意味がない。不安を自信に変えていかないといけない。
すべて、ヘッドコーチがかじ取りをしなければいけないわけで、そのHCが慢心、自信過剰といったオーラをチームに与えてはいけない。
まあ、HCは少々不安な方が、ACは支えがいがあるでしょうし(笑)、チームもがんばってくれるのではないかと思います。
―今季、契約延長をするにあたり、いくつかきっかけとなる出来事があるのではと思います。それは何だったのでしょうか。
佐古HC 一番の要因はなんなのかと言われれば、それは家族の後押しでした。東京で最終戦が終わった後、横浜の自宅に戻った時、いろんな不安が表情に現れ、家族もそれを感じたと思います。いろいろなクラブから連絡があり、いろいろな人と話しました。
この間、すべてのスケジュールを把握していたのは妻なのですが、彼女は私の気持ちを察するのが非常に敏感な人でして、クラブの行事で、一度広島に戻らなくてはいけないタイミングで「広島しかないんじゃないの」という言葉を残してくれました。自分でうすうすそのことは感じていたのですが、最後にその言葉で背中を押してくれたのが妻でした。
自分が挑戦することで、家族を巻き込んで、迷惑をかけるようなことではいけないし、自分自身で乗り越えなければならないと思っています。自分のわがままだけですべてを決断するようになると、どこで歯止めをかければいいのか分からなくなる怖さはあります。だから、妻や子どもたちの「広島でやってほしい」という言葉がすべてでした。
自分にとって家族がすべてであり、家族あっての挑戦だと思います。そういうものをひっくるめて広島で挑戦する。決断する前には怖さがすごくありました。「選手がこれだけ残って、1部に上がれなかったら、これは失敗なのか」と。でも、たとえ失敗に終わったとしても、家族だけは、自分の味方でいてくれる。それが確信できたので、決断できました。
―クラブには「広島に、バスケでつながる風景を。」といういいスローガンがあります。プレーオフで満員になる姿がそうだと思いますが、そこに向けた役割をどうどらえていますか。
佐古HC 実は、昨季にも「共闘~UNITED WE STAND~」というスローガンを掲げましたし、今季もスローガンを打ち出さなくてはいけないと思います。浦社長からも我々の案を欲しいと言われました。スローガンはいくつあってもいいものだと思いますし、それを歴史として残していくべきだと思います。
「広島に、バスケでつながる風景を。」というスローガンに関しても、だんだんいい形ができつつあります。入場者数も初年度から昨季にかけて増えていますし、今季もさらに増やしていくことが重要だと思います。それが「つながる風景」につながっていく。スローガンに込められたテーマには「子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで」というものもありますが、実際、自分を支えてくれている方々は老若男女、いらっしゃいます。
昨季掲げた「共闘」についても、ファンの方とあれだけ盛り上がることができた。さらに盛り上がる為に、クラブが「バスケでつながる風景プロジェクト」を掲げ、このオフは選手もスタッフも、昨季以上のイベントやクリニック、学校訪問をこなしています。チームとしても、やれることをすべてやろうという気持ちで取り組んでいます。
これをすべて結果につなげるためには現場だけが頑張っても、フロントだけががんばってもいけない。ですから浦社長には「コミュニケーションをしっかりとりましょう」と言いました。リーグも新しくなり、クラブも新しくなる。それはビジョンとして我々は持っている。
そういう取り組みも、メディアの皆様の力がすごく大事です。
やれることを精一杯やっているつもりです。
皆さんに、一層の協力をお願いいたします。
---------------
会見終了後は記念撮影を行いました!
今季の広島ドラゴンフライズにご期待下さい!