6/4佐古賢一ヘッドコーチ着任会見詳細
6/4(水)に行いました「佐古賢一ヘッドコーチ着任会見」にご出席いただきました皆様、誠にありがとうございました。佐古賢一ヘッドコーチのごあいさつと質疑応答の様子を詳しくお伝えします。
佐古賢一ヘッドコーチよりごあいさつ
本日は多くの報道関係者の皆様にお集まりいただき、ありがとうございます。
着任にあたり、11月の(就任会見の)時点から進行した部分、イメージのわいてきた部分もございますので、そのあたりをお伝えできればと思っております。
これから、広島で、自分の持てる力を精一杯出して頑張っていきたいと思います。
■もっとも感じるのは「緊張感」、期待と不安は半々
選手獲得の会議で3回ほど広島に足を運びましたが、その時と比べて今回、横浜の自宅から一歩出た瞬間、芽生えた中で一番大きかったのは「いよいよここから始まる」という緊張感でした。
不安もあり、期待もあります。期待と不安は、いまは半々です。
11月の段階では、自分ひとりの感情と熱い気持ちだけを持っていましたが、選手を招集した今は少し違います。クラブスタッフに期待されている以上、何かを残さなくてはいけないという気持ち、そして獲得した選手に対する責任感、そういうものを自分の中に持っています。
今から獲得する移籍選手も家庭など様々な事情を抱える中、自分の人生を賭けてバスケットボールをこの広島の地でやります。そうした選手たちを思うと、やはり緊張感がわいてきます。
■新人選手について
新人選手4人(※注 柳川龍之介、坂田央、北川弘、岡崎修司)のワークアウトを継続してみていますが、4月の始めの頃は正直言って「まだ学生だな」と思いました。
緊張感や、バスケットボールで生活する危機感といったものが感じられず、少し甘い感じでしたが、今は技術的な成果はもちろん、精神面でも変化が見られ、かける言葉が変わってきました。以前は「これからは自分たちの人生を自分で切り開かなくてはいけない」と言っていたのが、今は「今の値段(年俸)が自分の実力じゃないぞ」と言っています。将来、頑張れば数千万円をもらえるようになるかもしれないし、NBLが野球やサッカーのような成長を遂げれば、1億円プレイヤーだって出るかもしれませんから「現役生活を全うした時にその評価は決まる。そこまで成長し続けられるように」と伝えています。
そのためには技術ではなく心を鍛えることが優先だと思っていますから、まずは心に響き、それを技術の向上につなげられるような言葉をかけていきたいと思っています。
彼らは、この2カ月でかなり成長しました。私が見る限りでは、ほかのチームに行ってもかなり戦力になれるレベルだと思います。ただ、バスケットボールは1人でやるものではないですし、技術だけではなく経験が必要ですから、試合に出た時にどういうことができるかは、今からです。
■今後のチーム作りのイメージについて
今後のチーム作りのイメージは、以前も申し上げましたがやはり「規律のあるチーム」です。
広島ドラゴンフライズの歴史がここから始まりますので、その歴史に傷をつけることはしたくありません。私も、選手たちと一緒に学びながらチームを作っていきたいと思っております。
ですが、戦術的なイメージはまだ立てていません。選手が全員そろった段階で、個々の持ち味、能力といったものを加味したうえで、NBLで戦える戦術を作らないといけませんので、細かなイメージというのはまだお話しできる段階にありません。しかしファンの皆様が見ていて楽しいトランジションオフェンス、これはやりたいと思います。分かりやすいバスケットボールをまず皆さんに見ていただいて、そこからバスケットボールの奥深さを学んでいただけるようなチームになりたいと思います。
■培ってきたノウハウと経験を惜しみなく広島の地に注ぐ
私は選手として培ってきたノウハウ、経験、そういうものを出し惜しみなく広島の地に注ぎたいと思っています。
もちろん結果も大事だと思いますが、プロセスも大事に、自分らしいバスケットボールを伝えていきたいと思っています。ファンの皆様には我々を応援していただけるようにお願いすると同時に、叱咤激励、特に「叱咤」をお願いしたいです。
選手は、激励だけではこの厳しい世界を乗り越えていくことも、自分を見つめ直すこともできません。
叱咤をいただければ選手も成長しますし、壁にぶつかった時にそれがわかりやすいと思います。
質疑応答
■たった4カ月。時間はないに等しい
―開幕まで残り4カ月。今の心境は「まだ4カ月ある」でしょうか、「もう4カ月しかない」でしょうか。
佐古 外国籍選手の合流は8月末、実質9月からと考えれば、全体練習ができるのが開幕まで1カ月しかないことになります。他チームは、前シーズンの1年間の戦いをインプットしたうえでチームを作り上げていくことができるのに対し、我々には実質9月から10月11日までの1カ月しかなく、それまでにできることを、自分たちが段階を踏んでやらなくてはいけない。ですから心境としては「4カ月しかない」が強いです。練習の中からいいチームにしていくためのヒントが見つかるはずなんですが、1日で変われることと、1カ月かかること、あるいは1年間かかること、いろいろあると思います。
そうした事情もあって、クラブには練習ゲームを少しでも多く組んでもらえるように要望しています。たくさんゲームをやる中で、要るものと要らないものを判断していく作業をしたいと思います。われわれが対処すべき課題は山積みですし、4カ月という時間は、ほぼないに等しいと言っていいでしょう。
■広島のオファーを受けるのが、一番ふさわしいと思った
―日本のバスケットボール界を背負っていた佐古HCが、広島にきたその思いを改めて聞かせてください。
佐古 様々なチームからのお誘いを「日本代表に尽力したい」という強い思いから断ってきましたが「自分もヘッドコーチとしての知識を得なくてはいけないのではないか」と思い始めました。私の生涯の夢は「自分の人生が終わるまでに、日本代表をどうしてもオリンピックに連れていきたい」というものですが、広島からのオファーを受けた一番の理由は、自分のコーチとしての歴史と、クラブの歴史が同時に始まるという点に惹かれたことでした。日本代表チームにも一から作りあげる作業があろうかと思いますが、今回は広島ドラゴンフライズの立ち上げに参加する中で、チーム作りの大事なものだけでなく、クラブ経営のプロセス、ノウハウも含めて学びたいと思いました。
「自信があるかないか」ではなくて「挑戦できる環境」である点が判断のポイントでした。
私は、いい環境にいればいい環境に染まってしまい、挑戦すべき環境なら挑戦を惜しまない性格です。その意味では今回、私は挑戦をしに来ていますので、広島が一番ふさわしいと思いました。
■必ず、広島の地にチャンピオンフラッグを持ち帰ることができる
―広島ドラゴンフライズの戦力は、NBLの中でどのようなレベルにあるのでしょうか。
今の戦力、状況を見る限り、優勝を狙えるのか、勝てるかと問われれば、それはそう甘くないと思います。経験のあるベテラン選手を最低でも2~3人、ポイントガード、フォワード、センターに1人ずつはほしいところです。ですが、自分たちのチームの歴史を作るためのこの1年目は、勝ちにこだわるというよりは、選手の育成を大事にしたい。
ここから、歴史がどんどんつながります。強くなるのは5年後か、10年後かわかりません。もしかしたら、2年後には早々に優勝を争うチームができるかもしれません。入口さえ間違わなければ、この広島の地にチャンピオンフラッグを必ず持ち帰ることができると思っています。
そういう環境で挑戦するということは、選手の育成という観点では大きなメリットがあると思います。新人5人には、しっかりプレーしてもらわなければならない。日本のトップクラスの選手を5人集めた状況ですと、彼ら新人は飼い殺しになりますが、そうではなく、プレータイムはあるわけですから。
そしてその、新人に頼らなくてはいけない部分を、ちゃんと「責任感」として伝えていく。もちろん、プレーだけではなくて、先ほども申し上げた規律、メンタルの部分をふくめて育成したい。トップレベルの選手であるということはイコール規律、礼儀作法ができてなくてはいけないと思いますから。
■戦う上での難しさは経験だけ。1年目は育成型チームで
―新人重視、育成いったメッセージが受け取れますが、今のNBLを見る限り、育成型チームで戦うのは難しくないでしょうか。
佐古 いま「育成型チームは難しいのでは」というお話をいただきましたが、先ほど申し上げた通り、プレーする場はあるので、新人選手たちのモチベーションは最高なのではないかと思っています。
戦う上での難しさというのは、経験だけです。新人選手とベテラン選手の違いは、経験だけだと思っています。身体能力にしても、持っているスキル、技術にしても、そう大差はありません。
そういう意味では、経験と自信、これが備わっていけば、あまり育成にこだわることへのデメリットはないと思います。
もちろん、経験があり、センスもある国内トップレベルの選手を獲得したいという願望は私にもあります。
ヘッドコーチである私の助けにもなりますし、ファン獲得にも拍車をかけるだろうと思います。
ただ、クラブにも財政事情がありますから、私としてはまず選手の人数、頭数の確保を最優先に、将来がある能力の高い選手を獲得し、1年目にしっかり鍛えたいという思いがありました。この先何年も育成型チームでいくのかと言われれば、そうは思っていません。1年目だからこそ「育成」という言葉を掲げ、5人の新人選手をどこまで引き上げられるか、私も挑戦したいと思います。
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会見後にはフォトセッションを行いました。