MENU

広島ドラゴンフライズ

HIROSHIMA DRAGONFLIES

MENU
NEWS

NEWS

HOME > ニュース > 代表取締役社長 浦伸嘉による「新B1」参入に向けた記者会見コメント

代表取締役社長 浦伸嘉による「新B1」参入に向けた記者会見コメント

2023年3月15日(水)に広島ドラゴンフライズ クラブオフィスにて、代表取締役社長 浦伸嘉による「新B1」参入に向けた記者会見を行いました。
 

ごあいさつ

代表取締役社長 浦伸嘉



 

おはようございます。
本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
あらためてのお話にはなりますが、今後、B.LEAGUEが新たに生まれ変わり、そこに我々広島ドラゴンフライズが参入したいという意思を表明させていただきたいと思います。
その上で、参入を目指す現状と今後についてお話させていただければと思います。
よろしくお願いいたします。

 

代表取締役社長 浦伸嘉よりご説明① 新B1参入意思について



 

2026-27シーズンを境に、B.LEAGUEは大きく変わっていきます。
大きな枠組みでいいますと、現在のB.LEAGUEは「オープン型」の運営を行っています。地域リーグからB3、B2、B1と昇格していく、そして1シーズンごとに昇降格のある形です。日本だと、サッカーのJ.LEAGUEと同じ形ですが、ここが大きく変わります。

まだ決定ではありませんが、最終的にはB.LEAGUEは「クローズ型」という、日本のプロ野球、アメリカのNBAやメジャーリーグと同じ形を目指す方向です。2026-27シーズンにはまず、その第一歩として「エクスパンション型」に移行します。このエクスパンション型は、一定のライセンス基準を満たしたクラブにライセンスを付与し、一度ライセンスを付与されたクラブはチームの戦績によって降格することはないシステムです。もちろん、赤字が何年も連続するようなケースではライセンスの喪失はありうるのですが、事業基盤と財務基盤がしっかりしていればチームの戦績だけで降格はしません。
これはまだ予測の域を超えませんが、エクスパンション型に移行後、何年かを経てクローズ型に移行するのではないかと言われています。

そして我々広島ドラゴンフライズは、この新B.LEAGUE元年となる2026-27シーズンから、トップカテゴリーである「新B1」へ参入する強い意思を本日、ここに表明いたします。
先程の通り、試合の勝ち負けによるチームの成績ではなく、事業規模、1試合平均来場者数、ホームアリーナ要綱など、クラブの運営面において、新たなリーグ基準を満たさなくてはいけません。
この事実を、広島県民の皆さまに広く周知をしていただくことが、本日メディアの皆様にお集まりいただいた大きな目的でございます。


そして、新B1ライセンスを獲得するためには「スポーツ王国・広島」の県民の皆さま一人ひとりの力が絶対に必要であり、その力をお貸しいただきたい旨、広く周知いただきたいと願っております。
今回の新B1ライセンス基準については、地域にどれだけそのクラブが支えられているかを数値化したものととらえています。1試合平均4,000人の来場者数は、地域にプロバスケットボールが根付いていないと難しいです。年間売上12億円にしても、地域の企業の皆様に、どれだけ応援していただいているかを数値化したものですし、アリーナ要件も、クラブ単体で解決できるものではないので行政、自治体、そして民間事業者様とどれだけ密にコミュニケーションをとって信頼関係を築き、応援していただけているかを形にした条件だと思います。

B.LEAGUEはNBAに次ぐ世界第2のバスケットボールリーグを目指して、新しい形に生まれ変わろうとしています。現状、我々の年間売上高は12億5,000万円ですが、新B1が発足した暁には、B1クラブ平均で年間20億円を目指していきます。そうなれば、今NBAに次ぐ規模である欧州のユーロリーグ、中国のCBAの事業規模を超えていけるという目算です。そのために、来場者数の目安と、アリーナのハード面をこうした基準にしているわけですね。
今後は、各クラブがこの条件を満たしたうえで新B1ライセンスの取得申請をしていく、という流れになります。アリーナについては「スイートラウンジ」という条件が入っています。県外からのVIPの来訪を促進したり、NBAの試合のような国際的なコンテンツを誘致するにはハード面でのホスピタリティが必要です。そのために、アリーナがライセンスの重要な位置を占めています。現状では、すでに完成している琉球ゴールデンキングスの沖縄アリーナや、先日映像が公開された群馬クレインサンダーズの「OPEN HOUSE ARENA OTA」をはじめ、すでに10のアリーナが建設に向けて動いています。

 

代表取締役社長 浦伸嘉よりご説明② 新B1審査基準について


続いて、最も大事な新B1の審査基準とその過程についてのお話をします。
審査は1次から4次まであり、2024年10月の時点でB.LEAGUEによって判断される予定です。ここに向けてまず、今年の10月にB.LEAGUEに対して新B1への参入意思を表明し、書類提出を進めていきながら1年かけて、整った書類で審査されます。
ドラゴンフライズの最大の課題はアリーナです。2028-29シーズンまでに要件を充足するアリーナが稼働する目途を立てなければいけません。先日報道いただいた通り、広島県の湯崎(英彦)知事に、広島グリーンアリーナ(=広島県立総合体育館、以下・グリーンアリーナ)をホームアリーナとして使わせていただけるよう、お願いにあがりました。
新アリーナの建設は引き続き目指していますが、(新B1の審査期限である)2024年10月までに計画を出せる目途が現時点で立っていません。ですので、ライセンスを取得するためにはグリーンアリーナの改修しか選択肢がない状況です。

入場者数と売り上げに関しては、1次審査で今季、来季の2シーズンで
「2季連続4,000名」「2期連続12億円」が求められます。これを現在達成できる見通しなのは4クラブのみです。2次審査では「1季4,000名」かつ「2期連続12億円」が、3次審査では「1季4,000名かつ1期9億円」もしくは「1季3,000名かつ1期12億円」がそれぞれ求められます。
我々ドラゴンフライズの場合は、アリーナの要件を整えたうえで、2次審査での新B1ライセンス取得を目指します。B.LEAGUEは2026-27シーズンを最大18クラブで始める意向であり、先程の通り全国にアリーナがすでに10カ所で進行中です。となると、残るは4~5クラブしかない。我々の見通しでは、3次審査までに18クラブは埋まり、4次審査は実施されないと思っています。3次審査でも枠が減り、競争相手は多い。今季並みの数字で行くと我々は3次審査対象ですので、何としても来季4,000名を達成しないと(2次審査に行けず)ライセンスは取れないと思っています。

補足ですが、新B1ではカーディング(試合日程)の基本設計が大きく変わります。まだ100%決定ではないですが、現在の1節2試合の土日連戦を中心とした形から、平日を中心とした、1節1試合での開催に大きく変わります。ですので、カープやサンフレッチェさんのように、県民の皆さまの生活リズムに入っていかないといけません。

代表取締役社長 浦伸嘉よりご説明③  現状について




今季ここまでの広島ドラゴンフライズの平均入場者数は、B1の24クラブ中12位の3,157名です。先ほどの基準と照らし合わせると、3次審査でなんとか基準を越えている数字です。今季4,000名を超えているのは琉球、A東京、川崎、千葉Jの4クラブのみです。
ドラゴンフライズの営業収益は、おかげさまで12億円を超えており堅調に推移しています。いま大きく伸びているのは入場料収入、すなわちチケット販売です。広島サンプラザホールの試合では高単価の1階指定席、それもコートに近いところから売れていきます。このあたりを見るとB.LEAGUEとドラゴンフライズの試合そのものの価値は上がってきたのかなとは思います。

こうした現状を今はまず、広島県民の皆様にお伝えしたいと思っています。
いろんな場所で発信はしているのですが、我々の力不足で周知がまだまだ不十分だと感じています。B.LEAGUEが生まれ変わること、新しいB1に参入するにはいくつかのハードルがあること、そして、そのハードルは県民の皆さまの支援、サポートがないと越えられないこと。この事実を、メディアの皆さまに広く周知していただきたいのです。
そして、我々は、新B.LEAGUE元年である2026-27シーズンから新B1に参入したいと考えています。それには2024年10月までの1年半しか時間がありません。新B.LEAGUEのこと、新B1ライセンスの話をこれまで以上に積極的に伝えていきたいです。

代表取締役社長 浦伸嘉よりご説明④  県民の皆さまへ



広島ドラゴンフライズは「広島」をつけさせていただく限りにおいては、この街の歴史や背景を背負って、戦わせていただいています。そしてそれには、ドラゴンフライズが県民の皆さまや、地域の皆さまにどれだけ愛されているかが重要だといつも考えています。ですので、改めて広島県民の皆さまへのお願いをまとめました。

------------------------------------------
広島県民の皆さまへ

広島ドラゴンフライズは、2026-27シーズンより生まれ変わる新B.LEAGUE「新B1」への参入意思を、ここに表明いたします。

しかし現状として、新B1参入の壁は決して低くありません。
新基準を満たすアリーナ、1試合平均来場者数4,000名、年間売上高12億円。
これらをすべて、2024年までに越えなければなりません。

しかし、広島県民の皆さまにドラゴンフライズを愛していただき、応援していただければ、必ず超えられる壁でもあります。
そのためにもまず、ドラゴンフライズのホームゲームへぜひお越しください。
皆さまがホームゲームへ向かうその一歩が、そのまま新B1参入に近づく一歩になります。
スポーツ王国・広島の底力が、今こそ必要なのです。

2026年、新B1元年へともに。
------------------------------------------

広島県民の皆さまのお力添えを、何卒よろしくお願い申し上げます。

⑤「頂」月間について

こうした状況の中で、我々は4月から5月に15試合中10試合をホームで戦います。チームが好調な中、ホーム最後の10試合は、クラブ初のチャンピオンシップ進出のかかる、今季もっとも重要な試合です。その戦いをぜひたくさんの人に見ていただきたく、「頂月間」というキャンペーンを実施し、様々なイベントを実施する予定です。
ぜひ、この10試合で1試合平均4,000名に来場いただき、来季につなげたいと思います。島根、琉球といったCS進出や地区優勝のライバルとの試合もあり、来年10月に審査を控える新B1ライセンスに向けても、本当に大勝負です。
ぜひ幅広く報道いただき、何とかCS出場と新B1ライセンス取得の一歩につなげられるように、努力していきたいと思います。

⑥質疑応答

―現在のホームアリーナである広島サンプラザホールでは、席数不足が問題なのか。
浦 席数だけではありません。アリーナ要件にある「ラウンジ」を設置するためのスペースがなく、トイレの数が足りません。例えば5,000席であればその3%が必要なので、150個のトイレが必要ですが、ここが圧倒的に足りていない。スイートルームも作らなければいけませんが、現状で4,000席しかない中で、スイートルームを作れば物理的にさらに席数が減ることになり、現実的には難しいと思っています。
今後、ここは改めて(所有者の)広島市に確認はするつもりですが、市が改修する可能性は、現状としてはなかなか難しいと思うので、グリーンアリーナの使用を広島県に相談している状況です。グリーンアリーナは席数も5,000席以上あって、トイレの数も充足しています。ラウンジの設置スペースもあり、課題はスイートボックスの新設だけです。ここがまだ見えていないところですが、コストの要件を満たす状況を整えて、県に相談するつもりにしています。こうした状況を勘案して、現時点で可能性が一番高いのがグリーンアリーナ、ということです。


―グリーンアリーナの使用は来シーズンからを想定しているのか?
浦 いえ、それは時間的に難しいです。ライセンス要件にあるように、2028-29シーズンまでに使用が開始できるように計画を整えて2024年10月に提出するイメージです。我々としては、グリーンアリーナの使用をする場合は、2026-27シーズンからグリーンアリーナが使うことができれば、と思っています。

―新アリーナ建設を目指す動きの現状は。
浦 現状で、確定している要素はまだありません。5-6年前から情報収集や調査はしています。今後必ず新アリーナの計画は進めて、最終的には新アリーナでの活動を目指す、ここは変わりません。しかし(審査期限の)2024年10月に間に合うか、間に合わないかは現段階で不透明です。ギリギリになって「新アリーナは間に合いません」となると、ライセンスは100%もらえません。そうなると、今まで支えていただいたブースターや県民、関係者の皆さまに申し訳ないので、できる努力をして、選択肢を増やしているのが現状です。
そうした状況の中で、今一番可能性が高い選択肢がグリーンアリーナの改修だということです。新アリーナができるまでの間、暫定的にグリーンアリーナを使うということを前提に、広島県も前向きに検討くださることになりました。
 この3年間、新型コロナウイルスの影響があり、アリーナビジネスに投資しにくい状況だったと思います。しかし、ここからは前向きな方向になっていくのではと思っていますが、現時点で確定している要素がない、ということです。
 先日、湯崎知事にも話しましたが、(広島サンプラザホールのある)商工センター再開発の話も、広島市が今後2年間でビジョンをつくるという話は聞いています。しかし、2年たてば審査期限は過ぎてしまう。我々の時間軸と、新設アリーナのめどをつけるための時間軸が合っていない状況です。


―グリーンアリーナは何年使うのか。
浦 具体的な話はしていないです。2028年に新アリーナが建設できればそれがベストです。それができないのであれば、3~5シーズンを改修したグリーンアリーナを使う形で着地するイメージですね。26-27シーズンから使用できればありがたいです。新アリーナの計画はなるべく早く固めたいですが、我々だけで完結できることではないので。

―来季の1試合平均来場者数4,000名は、キャパシティが少ない福山開催が入ると厳しいのでは?
浦 広島サンプラザホールは立ち見を入れると4,500名は入りますし、エフピコアリーナふくやまも3,800名は入ります。そこに来年は3—4試合グリーンアリーナを使う予定です。グリーンアリーナは7,000席ありますので、ここをしっかり満席にして、平均4,000名を達成したいと思います。

―先ほどトイレの話があったが、来季サンプラザで来場者数が増えると、トイレが混雑してホスピタリティ(おもてなし)のレベルが落ちてしまうのでは。
浦 現状でできる限りのことはしたいと思います。今も、ブースタークラブの会員様には隣接するホテル広島サンプラザのトイレを使っていただけるようにしていますし、仮設のトイレ設置も検討しています。お客様の満足度が下がると次の観戦につながらないので、しっかり準備したいと思います。

―新アリーナは広島市内に作るのか。クラブとしてアリーナの立地に求める条件は。
浦 先程商工センターの再開発のお話もしましたが、立地についてはクラブだけでは成し遂げられないことです。「一緒にやろう」と言っていただけたところで検討します。それ自体がありがたいことです。
 その中で、立地が広島市内であればベストですし、駅の近くのロケーションならベストだとも思います。しかしそこは我々の要望が通る、通らないという世界ではないと思います。アリーナはバスケットボールだけでなく、それ以外のコンテンツも呼び込める、本当に新しい価値を作っていけるものだと思うので、そこに賛同していただける自治体さんだったり、民間の業者さんだったり、いろいろなパターンがあると思うが、「ここでやっていこう」と言っていただいた先とどんどん話をしたいと思います。もちろん「場所はどこでもいいよ」と言っていただければ要望はありますが、そんな状況は決して訪れないと思います。できれば広島市内に建てられれば一番いいと思います。


―グリーンアリーナ改修の案は、バスケットボール専用の改修のようにも聞こえる。改修のイメージは。

浦 これに関しては2つのお話があります。まず一つは、グリーンアリーナを改修してドラゴンフライズが使う場合は、年間の興行回数としてはカウントされないのが現状認識です。ですから、ライブやコンサートに使える日数が減るわけではありません。それ以外の日数の中で最多で30試合、最少24試合を行います。どちらかというと、アマチュア利用や各種の教室と日程が重なるケースが増えると思います。

 もう一つは、スイートボックスについてですね。バスケットボールの本場アメリカでは、アリーナがライブ、コンサートの拠点でもあるケースが多いですが、歴史あるニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにせよ、サンフランシスコの最新アリーナであるチェイス・センターにせよ、スイートボックスはすべて備えてあります。そのスイートボックスから、バスケットボールに限らずいろんなコンテンツを楽しんでいます。さらに、今はここ広島のマツダスタジアムにもありますし、今度完成する新サッカースタジアムにもできます。観戦スタイルが多様化していて、従来の座席に限らない観戦の仕方が楽しめるようになっている。球場内にバーがあって、そこで観戦するとかですね。
今回B.LEAGUEがスイートボックスを基準に入れているのは、そうした時代の風潮に合わせています。ですから、今回グリーンアリーナを改修したとして、バスケットボールやドラゴンフライズだけがその恩恵を受けるわけではありません。他のイベントにもいい効果が出るように、という考えの中で取り組んで、新B1ライセンスを取れればと思っています。「バスケが」ではなく、「アリーナビジネスが」と考えて、施設を整えないといいコンテンツを誘致できません。「世界からVIPを呼んで収益を上げていこう」という仕組みができれば、バスケ以外の使用にも大きく貢献できることになります。ライブやコンサート、そして他のスポーツにも。
 我々はサンプラザでボックス席を多く設置していますが、ここは一番早く売れていきます。4-5名の小さなコミュニティで観戦したい、というニーズが凄くたくさんあるんです。こうした情報を共有し、理解いただく努力をしていきたいと思います。


―新B1に行きたいクラブはどれくらいあるか。
浦 おそらく全クラブそうだと思いますが、先日の(島田慎二)チェアマンのお話だと「12クラブくらいは条件が整うのではないか」とのことでした。先ほどお話ししたようにアリーナはすでに10クラブ以上が動き出しています。となると、残り少ない椅子をドラゴンフライズは争っていかないといけないと思います。

―課題の一つ、4,000人の集客ですが、2階自由席をどう売っていくのか。
浦 そこが、日ごろからクラブスタッフ全員と頭を悩ませて、知恵を振り絞って「どうやったらお客様に来ていただけるか」を追求しています。一つ大きくわかっていることは、「初めての人は一人では来ない」ということです。友人や知り合いから誘われて、というきっかけがないと足を運んでいただけない。しかもいつでも来れる形のチケットだと来ない、という可能性が高いんです。いつでも使えるチケットだと、人は行かない理由を探してしまいますが、「〇月〇日、この席はあなたの席です」という理由とチケットがあると、その着券率(発行したチケットが実際に使われる確率)が高くなります。なので、団体で、なおかつ席が指定されているという関係性を作って、一度見に来ていただくのが一番いいと思います
 その意味では、今の設定では自由席の比率が高いので、この構成を変えたいと思っています。例えば「エリア指定」(エリアのみを指定し、エリア内は席を選べる)を増やすとか。今、自由席は企業様に投資していただいて小中学生を無料にする「ドリームカード」という事業をしていますが、ここは維持したいと思います。でもそれも、事前申し込み制を導入したり、当日に出ていくチケットの総数が事前にわかる、読める仕組みをつくりたい。
 そのためにもこの4月、お客様のニーズをよりつかむために「頂月間」で多くのお客様に来場いただきたいです。


―グリーンアリーナの改修の費用や予算については。
浦 今はまだその全体像が見えていませんが、改修のやり方次第で金額は大きく変わってきます。大改修になるのか、一部改修で済むのか。今のところ、正確な数字は申し上げにくいのですが、席数は足りていますし、ラウンジは地下一階のスペースに作れます。メインアリーナに隣接する小アリーナや会議室がある建物も同一の建物に見なされますし、そこがあるからトイレの数も充足できます。ですのであとは、スイートボックスをどう作るかであり、これなら大改修にはならないし、数十億や数百億規模の費用にもならないと思っています。できればその費用はクラブで負担したい。あと、グリーンアリーナは今ビジョンが故障しているので、我々が買って寄付する形がとれればいいなと思っていますが、これから具体的に詰めていきたいです。

―広島県との調整になるのか。
浦 広島県だけでなく、いろいろな先との調整になる。大きく言えば、県民の皆さまのご理解を得なければいけない。先日、湯崎知事より(改修を)前向きに検討いただけることになりましたので、その検討材料となる情報を早く整えてご提供しなくてはいけないと思います。もちろんB.LEAGUEも要調整先ですから、この4月にも担当者にグリーンアリーナに来ていただき、打ち合わせ、すり合わせを行っていきます。その中で費用面も見えてくると思うので、改めてご報告したいと思います。

―今日、新B1参入を宣言したが、公式には初めてか。
浦 そうですね。いろいろな形で未来構想はお話してきましたので、「当然参入意思を持っているだろう」と思っていただける向きもあるかと思いますが、幅広く広島県民の皆様に周知していただきたいと思い、改めて機会を設けさせていただきました。

―狙う審査は2次審査ということか。
浦 そこを目指してベストを尽くしたいと思います。1次審査は現時点で物理的に無理なので、2次ですね。

―グリーンアリーナは3-5年の使用予定とおっしゃいましたが、そこまでに新アリーナは間に合いますか。
浦 ぜひ、そうしたいと思います。2026-27シーズンからグリーンアリーナを使用すると仮定して、5年後は2031-32シーズンですが、そこまでには竣工させたいです。そのくらいのスピード感はもっていかないと、新B1にはついていけません。

―「頂月間」について、具体的にはどのような取り組みをするのか。
浦 スタッフみんなと考えて、いろいろな企画を実施します。例えば、4月の8試合を対象に、来れば来るほどお得になる「圧倒的お得チケット」を発売しました。4/19(水)滋賀戦では、ドラゴンフライズに加入したカイ・ソット選手、滋賀のキーファー・ラベナ選手という二人のフィリピン人選手がいます。二人の対戦を記念して、広島のフィリピン出身の皆さんを呼ぶ企画を進行中です。県内には10,000名前後のフィリピン出身者がいらっしゃるとのことですが、ソット選手やラベナ選手は彼らにとってスーパースターです。我々日本人にとっての八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)や渡邊雄太選手(ブルックリン・ネッツ)のような。ですから、フィリピン出身者の皆様にちゃんと情報を流せば、盛り上がるのではと思います。大阪のフィリピン領事館にもお声がけして、来場を依頼しようとしています。こういった企画を数多く打って、いろんな層に届けばいいなと思います。

―ライセンスの審査では、無料招待者は来場者に含まれるのか。
浦 無料、有料は問われませんが、先ほどの「着券率」は問われます。5,000枚チケットが売れていても4,000名しか来場しなければそれは4,000名としかカウントされません。難しいところです。無料だと売り上げにならないですし、有料であればハードルは上がる。各クラブいろいろ工夫しているところですし、審査をにらんで各クラブ無料招待はかなりしていると聞いています。
しかし、一口に無料招待といっても、そのやり方はいろいろあります。例えば、ドリームカードは小中高生が無料ですが、その費用はドリームカード事業への協賛として、賛同いただいた企業様に負担いただいています。だから我々のスタンスは「無料だから来てください」ではなく、「企業さんが無料のチャンスをくださったので、ぜひこのチャンスを生かしてください」とというものです。そうでないとクラブ運営は成立しません。ただ、来季は何が何でも4,000名入らないといけないので、他のクラブでうまくいった事例は積極的に取り入れたいですね。


―新アリーナが2028-29シーズンから、ということですが、2026-27シーズンは広島サンプラザホールの使用も可能なのですか?
浦 2024年10月の時点で資料が整っていればよいので、その可能性は十分にあります。あと、グリーンアリーナを使う上では先程の平日開催メインとなる日程がメリットになります。アリーナ要件では「むこう2年間で1年109日」を押さえないといけませんが、試合日程が決まれば、その押さえた日程を解除することも可能です。そのやり方は今のグリーンアリーナと同じですし、B.LEAGUEは2年前までに日程を決めると言ってくれています。ですから予約確保上も、イベント実施に対して負荷が大きくなることはないし、そうならないように調整していくつもりです。

―しかし、今のお客様は土日開催に慣れています。
浦 その通りだと思います。ただ、もうB.LEAGUEは平日開催メインの方向に動いています。これは、選手のコンディション面が理由です。土日の連続開催を基本とする運営は世界でも稀で、選手の負担が大きく、怪我のリスクが高いので、海外からトップクラスの選手が日本に来づらいです。B.LEAGUEを世界基準に持っていこうとすれば、そこは合わせないといけません。B.LEAGUEもそこを重々わかっていて平日にシフトしようとしているわけです。

―先月、グリーンアリーナ使用の検討が県議会で話題になったが、これはクラブとして働きかけたのか。
浦 いえいえ、様々なヒアリング調査をしていくうちに情報が伝わり「協力しなければいけないのでは」と応援していただく方がいらっしゃったようで、ありがたく思っています。

―今回のグリーンアリーナ使用については、広島県からのお話があったのですか?
浦 いいえ。もちろん広島県には我々の方からお願いしています。湯崎知事に前向きに検討いただく旨お答えいただき、ようやく今からスタートです。もちろん、我々が決められることではないので、決定には調整が必要だと思っています。

―今後、福山開催はどうなるのか。
浦 現状と同じように、新ライセンスでも義務付けられているのは「ホームアリーナでの8割開催」であり、残り2割はほかのアリーナで開催できます。エフピコアリーナふくやまでも、サンプラザでもOKです。我々としても、福山では毎年1節は開催したいと思っています。今季、初めて福山で来場者数3,000名を突破し、少しずつファンが増えていると感じますので、福山開催は優先度高く、引き続き開催したいと思っています。ただしそれ以外の開催地については、体育館の収容人数にかなり開きがあります。1,500人とか、2,000名といった体育館が多く、開催は難しいと感じています。

最後に、私から補足をいたします。

なぜ今回、2026-27シーズンの新B1元年から参入したいと強く申し上げているかといいますと、我々がB.LEAGUE創設時からB2に長く所属した経験上、どれだけB1昇格に苦労するかを知っているからです。今回は2024年の時点で、2026年からのB2スタートが決まったB1クラブの選手は2025年の時点で新B1の内定クラブへ移籍することが予想されます。その状況からまた数年後の審査を目指していくのは難しく、もしかしたら不可能に近いと思っています。クラブの今後10年、100年先を見据えた場合、今回は本当に大きな分岐点になると思っています。ですから、何が何でも今回、新B1には入らなければいけません。
そういう思いを、改めて認知・周知ご協力いただきたく、この場を設けさせていただきました。何卒よろしくお願いいたします。